キャリーからの逃走~なぜ人はバスにのりたがるのか

参考文献

仲正昌樹『人はなぜ「自由」から逃走するのか』

 なぜキャリーすることを拒否したがるのか。

日本サーバーは積極的なプレイが少なく仕掛けが少ないと言われます。これはいわゆる自らキャリーしようとする意志が強いプレイヤーが少なく、マクロなどのシステムによって勝とうとするプレイヤーが多いということなのではないでしょうか。

これは抽象的に言うと、自分でキャリーするという自由が与えられているが、逆にフィードするという恐怖感から、自分で積極的にプレイしてキャリーする機会を自ら拒否し、チームファイトや、マクロ的な動きなど味方の動きやゲームのシステムに頼ろうとするのでしょうか。

また勝とうと最後まで努力するのではなく、tiltしてフィードしようとするのでしょうか。

これの点について社会心理学者であるエーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』という著書のなかで、なぜ人は自ら自由を手放してしまうのかついて書いています。

フロムという人物と彼の時代背景

フロムという人は、ドイツのフランクフルトに生まれたユダヤ人の社会心理学者です。

社会心理学とは2人の人がいるときに生じる相互の心理状態の変化を研究する学問です。例えば感染症が蔓延した時や、大きな地震が起きたときにひとびとがどのような心理状態になるかを研究する学問です。

彼はなぜ社会心理学に興味をもったのかというと、第一次世界大戦を経験したからです。なぜ人は平和を望みながら戦争を望むなど、人間は手段を形成すると個人では考えられないような選択や非道な行動をするのだろうかという疑問です。

そして彼はそのままフランクフルト大学に進学し教授となりますが、30歳の時に大きな悲劇が起こります。

それはヒトラーによるナチスの登場です。それにより彼は危険を感じアメリカに亡命し、ドイツが第2次世界大戦に進んでしまった事態を体験し、その後、彼は『自由からの逃走』という本は1941年に発表します。そこで彼はなぜ人は独裁的な政治体制が蔓延したのか研究しその成果を発表したのが『自由からの逃走』です。

なぜ人は権威に服従するのか。 自由の代償

彼はまず中世ヨーロッパの政治体制と、ルネサンス期について研究します。

ルネサンスがおこる前のヨーロッパは封建社会でした。封建社会では主君による家臣を支配していた社会です。その社会では、個人には仕事を選ぶ自由は存在せず、生まれた時から決まっていました。ただ逆にその社会では個人は君主から守られていてあらかじめ役割も決まっているので、自分で考える必要がなく、社会ともつながっている感覚があり精神的にも安定していました。

ただそのあと封建社会が崩れルネサンスが訪れます。

それによりイタリヤやドイツから封建社会がくずれ、人々は自由を手にしました。しかし、それによって自分の仕事は自分で手にする必要があり、成功できるひとたちと、成功できない人たちの格差が生まれました。その結果、人々は自由を手にすると同時に、職業の不安定さを抱えることになり、孤独と孤立と不安にさらされることになったのです。

そして近代資本主義がやってきます。近代資本主義では自分で考えられ行動できるものには富を与え、自由を与えました。しかし、富を手に入れられない者達には、資本主義の歯車として、不安定な立場に置かれ、不安と孤独な状態になりました。

そして人々はその不安や孤独な状態から逃れるために自ら自由を手放すようになったと説明しています。

自由を自ら手放す3つのパターン

それではここから自由を手放す3つのパターンとそれをlolではどういう形になるのか説明したいと思います。

1権威主義にすがる = opやメタを以上に使いたがる

2破壊的な行動にでる。 =ティルトする フィードする

3機械的画一性 = バス乗りプレイをする。自分で判断しない。いわゆるオートパイロット

1権威主義にすがる

権威主義とは権者にすがろうとするタイプです。偉い人たちに従ってその言うとおりにすることによって自分で考えなくて良くなるわけです。

lolでいうとopチャンプや、opな使い方をメタごとに探して、技術や能力を高めようとするのではなく、システムや、脳死プレイのスタイルに依存するタイプです。例えばシンジドミッドやヌヌミッドやノクターンミッドや、一時期あったファンネリングなどが分かりやすい例でしょう。このように自分で考えてプレイしてフィードすることが怖いので、だれでもできそうなシステムやopチャンプを使おうとするのです。

2破壊的な行動にでる。 =ティルトする フィードする。他人を非難する

破壊的な行動にでるとは、対象を壊すことによって苦しみから逃れることを意味します。例えば、お金持ちの人たちを非難したり、努力できない自分を自己否定することによって孤独感や不安感を感じないようにしようとするのです。

lolでいうと、自分が下手やミスプレイしたことをごまかすためにわざと負けたり、味方を非難して他人を下げることによって自分が上になったような気分になろうとするのです。

3機械的画一

機械的画一とは自分であるとこや個性をして、社会に自分を同一化させることによって自分で考えなくても良いようにする行為を指します。

誰かが言ってることや、新興宗教だったら誰かが言っていることに従うことによって自分で考えるという責任や不安から逃れようとするのです。

lolでいうと、いわゆるオートパイロットやバス乗りプレイと言われるようなプレイことを指すでしょう。

自分で考えることを止めて、味方に合わせるだけのプレイをして味方の判断にすべて任せることで、自分で判断しなくてよくなるので、負けた時の責任を味方のエンゲージのせいにするわけです。

オートパイロットについては以下の記事で詳しく語っているのでどうぞ。

自由を取り戻してキャリーするためにどうしたらいいのか

フロムは本書のなかで、自由を取り戻すには自発的な活動によって自分と世界を結びつけることが必要がだと語っています。

ちょっと何を言っているのかわかりずらいと思うので説明すると、自発的な活動とは、自分自身の思考や感情を自発的に表現する創造的な活動を指しています。

例えば、芸術家などが分かりやすい例です。芸術家は土や水や、絵の具を使って外界の素材を使うことによって自由に自発的に自分を表現します。つまり、作った作品に意味があるのではなく、外界の素材を使って何かを作るプロセスの中で正解とつながることができるのです。

こういった自発的なプロセスによって自由の代償から解放されるのです。

ですからlolでもopチャンプで脳死プレイするのではなく、味方に全任せするのでもなく、ティルトするわけでも、こうしたら勝てるだろうと言う仮定と、実際自発的に積極的にプレイしてみて、リビューを見て検証するというプロセスを経るしかないわけです。

当然より効率的な方法や、無駄なことをして遠回りをしないことをは重要ですが、やはり一番重要なことは自発的能動的に自分で考えて行動してみることでしょう。

具体的にどうやって考えたらいいのかわかないという方は具体的な攻略の方法を以下の記事でまとめています。

まとめ

参考図書は、フロムの研究成果から現代のコロナでの自粛警察とか、なぜトランプ大統領は支持されたのかも考察することができると語っています。

そしてこのフロムの研究から、なぜlolプレイヤーはバスに乗りたがり、ティルトし、脳死プレイをしたがるのかというのが、自粛警察と同じような心理だというのも興味深いと思いました。もしフロムのもっと細かい内容を知りたい方は参考図書を呼んでいただけると、より詳しく知ることができると思います。

今回は以上です。

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